ディオニソスの祭(2)
スコアに見る編成について
少々追記!
1:落書き中の楽器名について
2:Piccoloが inC と指定されている件
3:ホルンは inF
4:ビューグルについて
5:アルトホルン(テナーホーン?)
6:多分一番ヤッカイなトコロ
7:さらに問題は続く
スコアに見る編成について
フルスコアに少々落書きしてみました。
著作権侵害等はご容赦ください!
黄色でマーカーしてある楽器は “ad-lib” の記載があり、オプションです。
とは言え、BassCla.にはソロがあるんですけど、「使わなくてもぃぃよ」って、ど~ゆ~こと?
“春の祭典(I.F.ストビンスキー)” と共に、数少ないBsCla.のソロだと思うんですけど…
で、分かりやすく(?)私なりにまとめてみました!
指定人数だけでも90名を超えますし、オプションの楽器まですべて入れると120名近い大編成になります!(打楽器が何人必要なのか判らないので、人数に入れてません…)
この曲を演奏しようとしても、よほど大人数の団体でない限りは、作曲者の意図するサウンドは出せないって感じになりましょうか?
モチロン!
小さな音符で所々に「代わりに吹いてね!」的な書き込みがありますけど、本来の指定楽器ではありませんからね~
GW中ヒッキーしててヒマなので、私なりに妄想して50名編成バージョンを欄外に載せてみました…(見直してみると、弦バスを入れ忘れています…スミマセン,,,)
がっ!
よほど各個人の力量が伴わない限り、そもそも選曲した時点でオワタ的な悪寒です~( ´艸`)笑
どこかの奇特な楽団さんにお呼ばれしたい私です,,,σ(・・)小声
少々追記!
1:落書き中の楽器名について
基本的に “英語表記” に直してあります。
また複数パートが一段に書かれている部分も、混同を防ぐため、敢えて楽器名は単数形のままにしてあります。
2:Piccoloが inC と指定されている件
(ホントは Piccolo Flute ですが、慣例で Piccolo と表記します)
今では死滅してしまったと思いますが、昔々…
Piccolo には D♭管 ってな面倒な野郎が存在していましたw
昔の楽譜は inD♭で記譜されていたので、現在その楽譜を使って演奏しようとすると、移調が必要です。
そのまま吹くと、ボレロの中間部に出て来る
「ピッコロとチェレスタ、間違えてない?ω」
みたいな状態になりますww
シュミットさんその辺を考慮して、わざわざ inC と書き込んだのだと思われます。
ちなみに Trumpet は inC で書かれていますので、作曲者の意図として
「C管を使ってネ!」
的な感じだと思います。
普通にB♭管 を使う場合には、移調しないと~ですω
(そのまま移調しながら楽譜が読めちゃう人は問題ナシ!)
3:ホルンは inF
安心してください!普通に inF で書かれています。
と言うのも、現在では当たり前のように フレンチホルン が使われていますが、昭和50年代後半まで、フレンチホルンが高価過ぎて買えないスクールバンドのため(?)に “メロフォン” ってな楽器がありました。
(マーチングで使われているメロフォンではなく、外観がホルンと似た形状の楽器。今でもあるのかは不明です…)
この楽器、大変便利な機能を備えておりまして、抜差管の取り付け場所を替えるだけで、E♭管にもなりました。
シングル管なのに、ダブル管の機能が備わっているというω
(演奏中にロータリーで管長を変えるようなものではなく、手動で一度抜差管を抜いて、再度ハメ込まないとダメなタイプです)
当時市販されていた楽譜には、“ホルンの楽譜は inF と inE♭が同梱” されていたものもありました。
指導者(管楽器音痴なスクールバンドの先生)としても
「Cla.やSax.がE♭管なのに、ナンデほるんダケF管@@?」
ってな面倒もありまして、案外どこの学校でもE♭管に設定して使っていたのではないかと思われます。
というよりも、アルトホルン全盛で、市販の楽譜も “E♭の楽譜しか入っていない” なんてことも多かったんです…。
また、所有楽器の少ないスクールバンドでは、メロフォンとアルトホルンを混ぜて使っていた状況だったので、アルトホルンのE♭管に合わせてメロフォンもE♭に設定して使用していた…って事情があったと思います。
私の出身中学がそ~でした。
マウスピースの形状に関係なく、Alt.hr.とメロフォンを同じ “ホルンパート” として扱い、上級生はメロフォンを使い、初心者の中1がAlt.hr.を使っていた…的な,,,
余談ながら、この “メロフォン” ですが、マウスピースは普通にホルンのを使いますが、ピストン楽器なので、ホルンと構え方が逆になります。
(左手がベルの中に入る感じ。
というよりも、当時の教則本には “左手でベルを掴む” ような記述がありました…)
4:ビューグルについて
通常 Bugle と言えば
“ピストン(バルブ)が付いていない、単管の信号ラッパ”
を指す場合が多いようです。
また、マーチングバンドでは inGの管楽器 として使われていたこともありましたよね?
(マーチングバンドの名称を “ドラム&ビューグルコー” としている団体も多いですよね!)
本編成の場合には、サクソルン属の金管楽器を指しています。
現在これを演奏しようとした場合、ほとんどの楽団は フルーゲルホルン を用いていると思います。
「Flügelhorn はドイツ語なので、それをフランス語で Bugle と言う」
ってな書き込みもありますが、私にはよ~判りまテンω
ただ、オプションのE♭管ですが、軽く調べたところ、現在ではSax.で有名なセルマー社だけしか製造していない!とか、いない…とか?
以前は複数の楽器製造メーカーで作られていたようです。
手元に不要なEs管をお持ちの方がいらっしゃいましたら…
私にタダでください!ω
E♭管のコルネットで代用してもイイのかな?
金管バンドでは普通に使われている楽器なので、入手するのはさほど面倒ではないと思われます…(但し高価!)
5:アルトホルン(テナーホーン?)
アルトないとでは大違いな楽器です!(オヤジギャクかっω)
その独特な音色が、フリューゲルホルンとバリトンの中間楽器というよりも、むしろ単独で充分な響きが得られる、私が一番好きな管楽器です!^ω^♪
種々議論が必要な所ですが、一般的には
E♭管 のサクソルン。
日・仏・米では アルトホルン(Alt.hr.)
ブリティッシュ・スタイルの金管バンドでは、テナーホーン(Tn.hr.) と呼ばれている。
ただし、独で Tn.hr. と呼ばれている楽器はB♭管の楽器で、バリトンに近い…
とかナンとか、ちょっと面倒な話になっています,,,
そもそもCla.やSax.だけにとどまらず、リコーダーや声楽でも
ソプラニーノ・ソプラノ・アルト・テノール(テナー)・バリトン・バス・コントラバス
ってな一連のシリーズがあるんだから、このサクソルン属も、普通に
アルト(E♭)・テナー(B♭)・バリトン(E♭)・バス(B♭)
って感じに一連のシリーズでなければ(特にSax.の調性と)整合性が取れないと思うんですが~
Bar.Sax.はE♭管なのに、どーゆーわけかサクソルンのバリトンはB♭管だったりするので、トテモややこしいω
まぁ~私がトヤカク言っても始まりませんし、種々ご意見もあろうとは思いますが、結論だけ言えば…
この曲で使われているのは
YAMAHAさんのカタログで “アルトホルン” と紹介されている
E♭管の楽器
って話に留めておきたいと思います…。
厳密には、アルトホルンとテナーホーンは異なる楽器だ!
ってなご意見もあるようですが、良く解っていないので割愛させてくださいω
\(・。\)話を戻して
仮にコンクールでこの曲を演奏する場合、専属の演奏者が登壇するのは、人数と課題曲との兼ね合いから若干無理があります。
多くの団体が “持ち替え” で演奏していますが、概ね2パターン…
Trp. か Hrn. の奏者が冒頭から、或いは要所要所で持ち替えるって感じになると思います。
んが!
サクソルン属ですので、マウスピースはTrp.~Bass(Tuba)と同じ形状です。
な・の・で!
Hrn.奏者が持ち替えるのは、アンブシュアの問題上、特に管楽器を始めて間もない中高生さんには教育的配慮が必要になろうと思われます…
よ・っ・て!
Trp.奏者が…ってなると思うんですけど、Trp.・Cort.・F.hr.の上に、さらにAlt.hr.まで?ってなると、イッタイ何人のラッパ吹きが必要なんだ!?って問題に直面します…
またセッティング上、ほとんどの団体が
Trp.は金管最後列、雛壇最上段、Trb.の隣
ではなかろうかと推察~
金管バンドのように、同属楽器であるサクソルンをできる限り近い所に集めた方が、奏者も吹き易いでしょうし、演奏効果も上がると考えられます。
中音域を担当する Alt.hr. が雛壇最上段の一番下手側ってのもど~なの?って思いますし、Trb.の隣ってのもど~なの?的なω
特にこの曲の場合、サクソルン属と、それ以外の金管楽器が束になって掛け合う場面が頻発します。
そのような意味でも、サクソルン属をある程度近い距離に配置することが、様々な意味で都合がヨイかと…
後半部分のみ、フルスコアから
金管楽器群のみを抜粋してみました。
上記の内容をご理解頂けるでしょうか?
【ディオニソスの祭(オマケ)】
ってことで、課題曲が終わったら移動して、Trp.奏者は二段に分かれて配置するとか?
なんてセッティングを考えるのもまた楽しいヒトトキですけど、実際の現場では、各団体さん相当なご苦労があるようです。
演奏が終了して誘導されて来る高校生さんを見ていると、結構な確率で
Trp.奏者が全員、最低2つの楽器を持って移動している
中には、左手にTrp.、右手にF.Hr.、腕にAlt.hr.を通してブラ下げ、譜面を脇に抱えて…
なんて、とてもリッチな光景に出くわすことも多々ありますw
思わずどれか一つ持ってあげたくなっちゃうのは私だけでしょうか?ω
(その1)でいくつか動画へのリンクを貼らせて頂いていますので、参照してみてください!
ちなみに、私が所属していた団体の場合…
5人のHrn.奏者が、課題曲は1stを2人で吹いて、
ディオニソスで[Hrn.×2、Alt.hr.×3]に持ち替えました。
Hrn.は2パートしかないので、案外融通が利くと思われます。
(オバちゃん、おっちゃんだったので、アンブシュア問題無視でω)
余談ながら、Euph.は4人登壇してまして、
ディオニソスで[B.hr.×2、Euph.×2]に持ち替え、小バスのパートをそのままEuph.で演奏しました。
(はい!ココ!「課題曲Euph.4人って多くない?」ってツっ込む所ですよ!ω)
他の団体さんの場合ですが、Trb.奏者が Br.hr. or B♭Bass(小バス) に持ち替えている光景を結構多く見ています。
6:多分一番ヤッカイなトコロ
フルスコアの
下から4番目:バリトン と
下から3番目:バス と
下から2番目:コントラバス
について…
ご存知 “バリトン” は、昭和の後半まで、どこのスクールバンドにもあった楽器です!
昔の名演は、ほぼバリトンを使って演奏されていると考えられます~
Euph.なる楽器が普通に使われ出したのは、案外昭和50年代に入ってからではないか?と勝手に思い込んでいます…
漏れず、私も中学生の頃に NIKKANのバリトン を吹いていましたω
当時は “エントツ” と揶揄された、必要以上にベルが長いヤツでしたケド…
(Alt.hr.みたいな外見で、今思えばホントに同属楽器だな!って思います)
現在の編成で演奏しようとすると、Euph.を代用楽器として用いることになろうかと思われますが~
“バス” と表記されている楽器、、、
これがチョット面倒でして~
昔は “B♭バス” とカタログに記載されていて、通称「小バス」と呼ばれていました。
Euph.よりズングリムックリした、2回りホド大きな楽器です。
その頃の楽譜には、まず間違いなく “バリトン” と “小バス” が同梱されていて、ほぼ間違いなく内容は同じものでした…
その違いは
バリトン は ト音記号 で書かれていて
小バスは ヘ音記号 で書かれていた
くらいしか違いはなかったと記憶しています。
ナノデ、無知だった私は
「ヘ音記号が読めない人のためにオマケで付いている楽譜」
程度に考えていましたωω
金管バンドを経験された方は常識としてご存知だと思いますが、
“バリトン” と “小バス” は異なる楽器
です!w
ナ・ノ・デ!
現在の編成で演奏しようとした場合、Euph.で“バリトン”のパートを吹いてしまうと、“小バス”を吹く楽器がなくなってしまう…(その逆も~)
ディオニソスの祭を演奏しようとした場合、ど~しても “バリトン” がないとダメな気がします…。
ちなみに、下から2番目の ”コントラバス” と記載されているのが、通常のバス…
昔は “小バスをB♭バス” と表していたのに対して、こちらは “BB♭バス” とカタログに表記されていました。
小バスに対して “中バス” ってな表記の楽器もありまして~
要は “E♭バス or Fバス” です,,,
当時出版されていた楽譜は、結構な確率でバスパートには “B♭・C・E♭・F” の4枚が同梱されていました…
中1当時、楽譜係だった私は初心者で、吹奏楽譜無知な故に 「イッタイナニガナンダカ~」 な状態でしたω
別件ですが、現在では “ピストン・バス” を目にする機会が少なくなりました。
中学生でも Tuba を当たり前のように使っていますよね?
この件については、機会があれば…
別途書き込んだように、小澤俊朗氏曰く
「ディオニソスの祭を演奏する際、Euph.を使うと音が重くなる」
とのことですので、できる限り “バリトン” と “小バス” をかき集めて演奏することが好ましいようです。
近隣の小中学校の楽器倉庫に、メッキが剥げた昔の楽器が眠っていると思います。
もしディオニソスを演奏することになった場合、片っ端から探し回ってみると、案外発掘できるカモ?です…。
新たに購入しようとすると、結構高価ですからネ,,,
(私の出身高校には小バスが1つあって、誰も使っていませんでした)
前の書き込みで「吹き易くて廉価」と書いてしまいましたが、現在のYAMAHAさんのカタログを見る限り、結構な高級楽器になってしまったようですネ,,,
Cort.、F.hr.、Alt.hr.、Br.hr.、Bs(B♭Bs)?、C.b.Bs(BB♭Bs)
今見てみたら、YBB-105って型番の楽器…
もしかして小バスなのではないかしら?
それにしても…
ナンでこんなに高いんだ?
昔は カレッジモデル・インペリアルモデル・プロモデル って3ランクあって、初心者・スクールバンド用に廉価な楽器がいっぱいあったのに…
Trp.もCort.もAlt.hr.もBr.hr.も、4万円代で買えたんですよ?
って…イツの時代ダヨ!(殴ω
\(・。\) オイトイテ (/。・)/
要は、“ディオニソスの祭” では、Euph.に出番はナイ!ってオチでしたω
7:さらに問題は続く
この “バス(小バス・B♭)” と “コントラバス(バス・BB♭)” ですが
inB♭で記譜
されています。
ト音記号 で書かれている “バリトン” は
元々以前から inB♭で記譜されていたので問題はないと思いますが…
本来 B♭管 であるこれらの楽器ですが、通常は inC で記譜されていますよね?
(Trb.も実はB♭管なのに、C管だと信じて疑わない後輩がいましたが~ω)
それが inB♭で記譜されているので、本来の楽譜の読み方をしなくてはなりません!
指導者さんの指導方針にもよると思いますが、現在我が国の吹奏楽指導法において “移調ド音法” が取られることが多いと思います。
(正式名称を知らないので、私の造語です。どなたか教えてください!)
ど~ゆ~ことか?ってぇ~と、機会があれば詳細は別記させて頂きますが…
多分ほとんどのTrb.を吹いている中高生さんは(ヘ音記号の場合)
”第二線上の実音B♭(b)” を “ド” と読んで、1番ポジションで吹く
と教えられて楽器を始めたと思います。
これは、譜面が inC で書かれており、実音表記されているからですよね!
inB♭で書かれた楽譜の場合、本来のヘ音記号楽譜の読み方である
“第二間” を “ド” と読んで、1番ポジションで吹く
ことになります。
我が国の音楽教育の弊害で、中学生の時 “アルトリコーダーの指使い” について、試験された記憶はありませんか?
“指使い” ってより、普通に “ト長調の音階” を吹いているダケなんですけど、
「アルトリコーダーはF管だよ!」
なんて教えると、音楽の授業がパニック必至なので、そのように教えるよう指導要領で決められているみたいです…
吹奏楽の場合でも、EsBassを吹いている人は移調…というよりは
“Es管の指使い” として読み替えて演奏している方も多いと思いますので、この点は問題ないと思いますが、念のため!
バリトン・バス(小バス・B♭)・コントラバス(バス・BB♭)の譜面は
inB♭で記譜 されています!
大切なことなので、二度言いましたww
三小節目の三連符、最後の > が付いている音を Timpani や 弦バス と比較すれば解ると思います。
シ♭で記譜されていますが、実音は As です。
なんて長々打って来ましたが、少しでも興味を持って頂ければ喜びます!
また、実際に演奏を計画している団体の関係者さんがいらっしゃいましたら、演奏会情報等をお寄せ頂くと、泣いて喜びます!
(遠方だと行けませんけど…orz)
さらに、指揮者・顧問の先生が、いつトチ狂って「ディオニソスやろぅ!」って言い出すかワカリマセン!ww
明日からさっそく、アナタもディオニソスの練習に励みましょう!笑笑笑
Fin